前回は、屋根の形が家の傷み方にどう影響するかというお話をしました。 今回は、家を守るための「塗装」に潜む、ちょっと意外な真実についてお話しします。
塗装は、とてもデリケートな「お手入れ」です

「塗装」と聞くと、ペンキをきれいに塗って見た目を整えるイメージがあるかもしれません。でも実は、これほど繊細で見極めが大切な仕事はありません。
なぜなら、塗り方を一歩間違えると、家を大切に想って行ったはずのメンテナンスが、逆に家を傷める原因になってしまうこともあるからです。
「塗装したら雨が漏ってきた」というお話
実は、よその業者さんで塗り替えをした直後に「雨が漏ってきた」というご相談をいただくことがよくあります。「きれいに塗ったはずなのに、なぜ?」とお施主様は大変驚かれます。
その大きな原因の一つは、「水の逃げ道を塞いでしまうこと」にあります。 屋根や壁の重なり目には、入り込んでしまった雨水や湿気を外に逃がすための、大切な「出口」があります。
ところが、知識のないまま厚く塗り固めて、この出口をピッチリ塞いでしまうと、逃げ場を失った水が内側に溜まり続け、かえって雨漏りを引き起こしてしまうのです。
「家が自らを出そうとするサイン」
現場でよく目にする「塗装の膨らみ」や「剥がれ」。 もちろん寿命(経年劣化)もありますが、中には建物からの切実な「お知らせ」であるケースが少なくありません。
もし内側に水分が入り込んでいたら、家は腐食を防ごうとして、その水分を必死に外へ逃がそうとします。その力が内側から塗装を押し上げ、膨らみとなって現れるのです。いわば、家が一生懸命に出しているサインなのですね。
この原因を見極めずに、ただ上から新しく塗り固めてしまうのは、家が自分を守ろうとしている呼吸を止めてしまうことになりかねません。

塗装が生きる、健やかな環境づくり
本来、塗装の役割は、新しい皮膚を作って雨を弾くことです。 でも、その塗装が力を発揮するためには、土台となる壁そのものや、見えない内側が健やかであることが何より大切です。
中がすっきりと乾いていて良い状態にあるからこそ、新しい塗装もまた、長く美しく家を守り続けることができます。
健やかな呼吸、見守る手仕事
「呼吸する家、人と家が健やかに」。 私たちのテーマであるこの言葉には、家が無理なく呼吸し続けられるように、という願いを込めています。
単に古くなったから塗るのではなく、家が発している小さなサインを優しく受け止めること。見えない内側の健康まで考えた診断をすること。
大切な我が家がこれからも安心して呼吸できるように。私たちは今日も、家からの小さな声を見逃さないよう、丁寧に向き合い続けています。
