前回は、小屋裏の通気が家を守るというお話をしました。今回は、その通気を受け止める主役、「木材」そのものについてお話しします。
日本の厳しい気候の中で、住む人が心地よく、家そのものが長生きするために、木が本来持っている「呼吸する力」を最大限に活かし、大切にする。 それこそが、私たちのホームページの冒頭にある「呼吸する家、人と家が健やかに」という言葉に込められた思いです。

湿気を吸い、自ら乾く。家そのものが持つ「調湿」の才能
木材には、周囲の湿気が多ければ吸い込み、乾燥すれば水分を放出して、状態を一定に保とうとする「調湿(ちょうしつ)」の機能があります。
さらに大切なのは、「濡れても、通気さえあれば自ら乾く力」を持っていることです。 万が一、激しい雨で吹き込みがあったり、わずかな雨漏りが起きたりしても、その水分を溜め込まず、速やかに外へ逃がして乾燥させてくれる。木が自ら水分を出して「呼吸」をすることで、家そのものが腐朽から守られ、健やかな状態を維持し続けることができるのです。
暑さ・寒さ対策と、心地よい呼吸ができる空間
今の時代の家づくりにおいて「寒さ対策」としての断熱性能は欠かせません。しかし、ただ閉じ込めるだけではなく、家そのものが健やかに呼吸できることが重要です。 適切に乾燥された木材を適材適所に使い、各所に工夫が施された家は、厳しい冬の寒さを防ぎながらも、木が持つ性質によって湿度や空気の質が自然に整えられます。
そうして守られた空間は、「冬は温もりがあり、一年中、深呼吸したくなるような心地よさ」に包まれ、そこに住む人もまた、心地よく健やかに過ごすことができるのです。
適材適所。場所によって「役目」が違う

木なら何でもいいわけではありません。家を建てる場所(環境)によって、私たちは木材を厳密に使い分けてきました。
土台(どだい): 地面からの湿気にさらされやすいため、特に水に強く、腐りにくい木を選びます。
柱・桁(けた)・梁(はり): 家の重みを支えながら、家全体の湿度のムラを整える役割を担います。
小屋組(こやぐみ): 屋根裏の熱や湿気が集まる場所。過酷な変化に耐えうる木が選ばれます。
自然のサイクルを味方につける
木材が持つ「水分を出して乾燥させる力」と、それによって生まれる「心地よい空気」。これがあるからこそ、木造住宅は想像以上に長く、そして快適に生き続けることができます。
家そのものが持つ「乾こうとする力」を信じ、その呼吸を妨げない家をつくる。そんな対話の積み重ねが、家族の健やかな毎日と、「長寿の家」を支えているのです。
次回のブログでは、この木の「乾く力」を最大限に引き出すための外側、「屋根の形と雨漏り」について詳しくお話しします。
