前回は、釘やボルトの「場所」と「打ち方」ひとつで雨漏りを防げるというお話しをしました。 今回は、さらに踏み込んで、家づくりに欠かせない「下地材」や「屋根材」の選択、そして大切な「通気」の話をしようと思います。

家をリフォームする際、最近では「屋根を軽くするために、瓦からコロニアル(スレート瓦)へ葺き替えたい」というご相談をよくいただきます。しかし、ここで大切になるのが、屋根材の種類に合わせて「下地から考え直す」という視点なのです。

屋根材が変われば、空気の流れも変わる

実は、瓦とコロニアルでは、屋根の構造そのものが大きく異なります。 瓦の場合、瓦と下地(野地板)との間に自然な隙間があり、そこを空気が流れる「通気」の仕組みが備わっています。

ところが、コロニアルは下地に直に接するようにして葺いていくため、瓦のような空気層がありません。こうした特性を理解せずに、ただ表面の材料だけを替えてしまうと、逃げ場を失った湿気が下地に溜まり、見えないところで家を傷めてしまう原因になりかねないのです。

実例:材料と下地の「相性」を間違えると、雨漏りは止まらない

以前、あるお客様から「他の業者さんで瓦からスレート瓦(コロニアル)に葺き替えたばかりなのに、雨漏りが止まらない」という切実なご相談をいただいたことがありました。

現場を確認すると、既存の瓦をおろしてルーフィング(防水シート)を張り替え、新しいスレート瓦を葺いた様子でしたが、残念ながらそこには「コロニアルに合う下地への作り替え」がなされていなかったのです。

瓦からコロニアルへ替える際は、釘を打つ場所も変われば、必要とされる屋根の勾配(傾斜)も変わります。それらの状況に合わせて下地から変更できていなければ、たとえ表面が新しくなっても、雨漏りや下地の腐食を防ぐことはできません。

屋根の状態に合わせて最適な材料を選び、その力を引き出せる下地を作る。この見極めこそが大事なのです。

流行の「勾配天井」に潜む落とし穴

また、最近では室内を広く見せるために、天井高を上げて開放感を作る「勾配天井」を希望される方が増えています。

しかし、天井を上げるということは、本来あった「小屋裏(屋根裏)」の空間を削るということです。小屋裏は、家全体の湿気や熱を逃がすための大切な場所です。開放感を作る一方で、空間が狭くなることの影響を考慮し、見えない小屋裏の空気をどう循環させるかを工夫する必要があります。

このような通気対策がなされていなければ、数年後に天井裏が結露を起こし、屋根を支える「野地板(のじいた)」だけでなく、家の大事な「構造材」までも湿気らせ、その痛みが回って「軒天井(のきてんじょう)」まで腐食させてしまうことにもなりかねないのです。

10年後、20年後の「安心」をつくるために

今回のまとめとしてお伝えしたいのは、「適切な屋根材や下地材を使用し施工したとしても、小屋裏の通気対策ができていなければ、家の健康は守れない」ということです。

目に見える部分を新しくするだけでなく、家が呼吸し続けられる環境をどう作るか。この目に見えない「選択と丁寧な施工」の積み重ねこそが、10年後、20年後の「この家に住み続けてよかった」という安心に繋がるのだと私は信じています。

次回のブログでは、家を支えるもう一つの主役、「木材そのものの性質と、乾燥」についてお話ししようと思います。